試作品とスピード勝負
クオリティの高い作品を作るためにも、試作を何度か作って、試行錯誤を繰り返すのも重要です。イラストで例えるとラフがわかりやすいかと思います。
動画編集ではビデオコンテ(Vコン)、音楽制作ではデモ音源といった形で作られることが多いです。
いきなり完成品を作り始めるよりも、コンセプトやテーマなどを、一度形にして方向性や作りたい物を確定させる、設計図や完成予想図がイメージしやすくなります。
テストの回数と構想の視覚化
頭の中のイメージを、一度視覚情報に書き出す事は重要になってきます。
いきなり完成想定で、 作り始めてしまうと、完成イメージが違っていたり、途中で内容が変わってしまったり、様々なトラブルを回避する事ができます。
クライアントとのイメージのすり合わせ
自分自身の作品を作る時にも、試作は重要な工程ですが、お仕事や依頼だった場合は完成イメージのすり合わせの為にも、試作品の作成と方向性の確認と言う意味でも、重要な作業工程になります。
イメージを共有する事で、方向性を定める以外にも、作業に必要な時間と日数の予測や費用感、スケジュールの調整がしやすくなるので、必ず初期工程として、行う事をお勧めします。
試作品にクオリティを求めてはいけない
ここで間違えてはいけないのは、試作品と言うのは、あくまで完成イメージを想定したアイデア出しの工程だと言う事。これを忘れてはいけません。
特に依頼者は、試作段階でクオリティが低いと判断しがちなケースが多々ありますが、 完成品を作っているわけではないので、クオリティの良し悪しを判断してしまうと、完成品の方向性が定まらなくなってしまう可能性があります。
試作品のクオリティーを上げてしまうことで、完成品を作り始めているのか、試作品のクオリティを上げて、完成想定の物を試作品として作っているのか、現在何をしているのかが、分からなくなってしまいます。
数とアイデアの勝負
試作品はクオリティよりも、数の勝負で方向性を決める工程です。
イラストやデザインであれば、カラーリングの確認全体的なビジュアルの確認。
楽曲であればジャンルやテンポ、使用している楽器の音色などの方向性。
動画であれば全体の動画の長さや展開のリズム。
そういったものが視覚化しやすくなるので、制作の方針の調整がしやすくなります。
不採用案が全て無駄にはならない
たくさん作った試作品も、全てが無駄になるわけではありません。
次回に流用出来そうなものを作ったり、全く別の方向性の作品を作る場合でも、そのままアイデアを選択肢として取り入れることもできる様になり、新しい作品を作る場合の時間短縮や、新しいインプットの材料として、クリエイティブのアイデアの引き出しに取り入れることが可能なので、将来の資産として残していくことができます。
以上、クリエイティブの上で間違えがちな、試作段階の工程の目的の話でした。何度も言いますが、試作品はクオリティではなく、アイデアと数のスピード勝負です。
完成品は当然1つに絞られますが、スタートラインが1つとは限りません。方向性が間違えていないか。いかに完成品をスムーズに作っていくか。計画を立てると言う意味でも、1番重要な工程になります。